今日から、新しい連載をはじめます。
連載タイトルは「ノリノリでインターンシップ研究入門」。
長期実践型インターンシップのこれまでの研究と実践をベースにしながら、一般的なインターンシップの歴史・分類・概念・設計・実践・未来までを、研究と実践の両面からフランクにお読みいただき、インターンシップや、インターンシップ研究、インターンシップの実践に関心を寄せてもらえるようにお届けしたいと思います。
「ノリノリ」は、私の名前と、共同パーソナリティを務めるポッドキャスト番組「ノリノリのインターンシップ大冒険」(棚瀬規子氏)の「ノリノリ」と、楽しい雰囲気の「ノリノリ」からいただいております。得意のオヤジギャグです(しっかりと笑う)。
音声での発信も試みてきましたが、テキストでも発信することで、より多くの方々と知見を共有していきたいと考えています。
連載の出発点となる第1回では、なぜ私が今、この連載を書きたいと思ったのか、これまで10年間にわたって積み重ねてきた実践と研究の歩み、そしてこれから始まる連載に込めた思いを、お伝えします。

なぜ、いま「長期実践型インターンシップ」なのか
私が長期実践型インターンシップと出会い、関心を寄せたのは、2010年代初めのことでした。
当時、会社員で東京で勤務していたことから、地元の名古屋(愛知県)へUターン転職して、その後、時間外のプロボノ活動(当時はそんな名前を意識していなかったですが)、学生のキャリア支援(というか、社会人たちが楽しく過ごす場だったかもしれないですが)市民活動団体NAGOYA×FOREVERを立ち上げました(2012年)。
その時に、東海地域には、長期実践型インターンシップに行って、逞しい姿で将来のことを語り、真剣に大人と接する未来の宝のような若者たちが何名かいました。
その人たちの話を聞くと、半年や1年という長い期間、企業の現場で経営者と二人三脚で事業を進める。失敗もあれば、成功もある。学生は劇的に変わり、企業もまた変わっていく。
その姿を見て、私は、なぜこれまでこのような機会・経験に私自身は恵まれなかったのだろうか・・・・
こんな経験こそ、人は成長し、さらに社会を変える宝の原石のような人たちだ・・・・と。
そして、ご縁があり、岐阜大学・地域協学センターで「次世代地域リーダー育成プログラム」に関わり始めました。
いろんな授業や見学会、PBL方式(課題解決を授業の中で実践する)、3-5日程度の短期間のインターンシップ、1ヶ月程度の中期間のインターンシップなどいろいろ実践しました。
やはり、長期実践型インターンシップこそ、「これまでの私が思っていた一般的なインターンシップとは違う、新しい教育・人材育成の方法論なのだ」、学びは学外での実践の機会(中小企業で、コーディネーターが伴走支援するタイプ)にあると確信しました。
それから10年余り、私は研究者・実務家として、3つの大学で長期実践型インターンシップに取り組み続けてきました。
岐阜大学・地域協学センター(2015年〜2019年)
岐阜大学では、文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+事業)」のもと、「次世代地域リーダー育成プログラム」(産業リーダーコース)の立ち上げと運営に携わりました。岐阜県内の中小企業・自治体・NPO等と連携した長期実践型インターンシップの基盤を構築する仕事です。
このプログラムは、文部科学省の中間評価・最終評価ともに「S評価」を獲得しました。COC+事業の全国の取り組みの中で、唯一の「中間・最終ともにS評価」という結果です(厳密には最終評価前に違う大学に移っていますので途中まで中心的に取り組んでいました)。特に評価された新しい取り組みは、計画外の進捗として、私自身が企画提案し、実行・外部と連携したような内容が大半でした。なかなか内部での調整と、外部の連携先との調整は困難を要するのですが、新しい挑戦を繰り返したプロセスは、現在の様々な産学連携や大学での新規事業をどのように実行すると良いのか、教職連携、産学連携、地域連携、キャリア教育、インターンシップなどなどの様々なキーワードを理解する上でとても重要な経験でした。
ここで私が学んだのは、「良いプログラムには、必ず良いコーディネーターがいる」ということです。学生のモチベーション、企業の現場、両者の橋渡し、トラブル対応、リフレクション。これらすべてを支えるコーディネーターという存在の重要性に、深く気づかされました。
名古屋産業大学・経営専門職学科(2019年〜2025年)
名古屋産業大学では、日本初の専門職大学制度を活用した経営専門職学科の立ち上げと運営に、実質的な現場責任者として関わりました。これは、日本初の「専門職大学の制度を活用した」学部・学科として2021年4月に開設されたものです。
経営専門職学科の最大の特徴は、4年間のカリキュラムに600時間以上の臨地実務実習(インターンシップ)が必修として組み込まれていることです。これは、専門職大学制度ならではの取り組みであり、大学教育の中核に長期実践型インターンシップを位置付ける、新しい実証実験でもありました。
ここで取り組んだのは、座学と実践を往還する教育プログラムの設計、実務家教員と研究者教員の協働、産業界との連携体制の構築など、長期実践型インターンシップを「大学教育の本流」として位置付ける実践です。
この経験を通じて、私が研究者として大切にしている問いが明確になりました。「長期実践型インターンシップは、本当に大学教育の中核に据えられるのか?」その問いへの答えを、自らの手で実証することができたと感じています。立ち上げ期間の3年間と、5年間実践することで、通常の大きな大学、教員のみの役割では得られない様々な経験と、少人数ではありましたが、全ての学生の伴走支援と、入学時から長期実践型インターンシップ半年間とそのリフレクション的な講義の3年生までの期間の全ての必修講義を、様々な授業で担当する中で、見えてきたことがたくさんありました(もちろんたくさんの課題、反省点、などなども多く理解できました)
コー・イノベーション大学(CoIU)(2026年1月〜)
そして2026年1月、新たに開学するコー・イノベーション大学(CoIU・岐阜県飛騨市)の事務局長・教授に着任しました。CoIUは、岐阜県飛騨市古川町を拠点としつつ、全国15か所(候補)にサテライトキャンパスを展開する、新しいかたちの大学です。
CoIUの中核には、私が提唱する独自概念「ボンディングシップ」が据えられています。「ボンディングシップ」は、ボンド(絆)とインターンシップ(就業体験)を掛け合わせた言葉で、地域とのつながりを深める中で、単なる実習を超えた学びと成長を実現するという思想を込めています。
CoIUでは、共創を目指し、1年次に飛騨での「理論」「対話」「飛騨での実践」の基礎を学び、2年次に「ボンディングシップ(実践)と理論・対話の往還」を経験し、3年次に「共創設計」での振り返りと再設計、3年・4年次に「共創発展科目」による実践と探究を行う、4年間を通じた実践教育が展開されます。
新しいスタイルの大学だと思います。HPやInstagram などで情報発信も行なっていますし、noteなどの連載も行なっています。よろしければご覧ください。CoIUのHPはこちら
この大学の創設に関わることは、大袈裟なのですが、私のこれまでのキャリア全体の集大成とも言える挑戦です。
これまでの3大学での実績と、CoIUでの新しい挑戦をつなげ、長期実践型インターンシップを軸とする新しい大学教育のかたちを、社会に提示していく仕事です。(実は事務局長も兼務してまして、これは会社員やビジネススクールでの学びを活かすことができていますが、ここでは触れずに進めたいと思います)
書籍と論文:理論化と発信の積み重ね
実践と並行して、私はその経験を理論化し、書籍・論文として発信し続けてきました。
書籍
長期実践型インターンシップに関する代表的な書籍として、編著『長期実践型インターンシップ入門』(ミネルヴァ書房, 2024年)を執筆しました。これは、長期実践型インターンシップの理論と実践を体系化した代表作です。26名の共著者と共に、長期実践型を多面的に解説する1冊として、研究者・実務家・学生の皆様にお届けしています。
主には、学生が読む教科書として作成しました。一方で、体系的な解説書がインターンシップそのものにないこともあり、多くの関係者の方に愛読いただけるというお声をいただいております。ありがとうございます。また、全国各地で長期実践型インターンシップを実践する大ベテランの方々とも一緒に本を書くことができ、また、一緒にCoIUにも取り組ませていただき、本当に感謝申し上げております。
その他、共著として『最新インターンシップ』(学文社, 2023年・第4章「企業から見たインターンシップ」を担当)、『企業のためのインターンシップ実施マニュアル』(日本能率協会マネジメントセンター, 2021年・第2章〜第5章を担当)を執筆。これら3冊は、インターンシップ関連書籍として、相互に補完し合う関係にあります。
論文
論文も多数発表してきました。査読付き論文を含む累計20件以上の論文を、日本インターンシップ学会、グローバルビジネス学会、地域活性学会、日本労働研究雑誌など、各種の学会誌・専門誌に発表しています。
「中小企業にとっての長期実践型インターンシップの活用意義」(招待論文・商工金融, 2024年8月号)など、研究者向けだけでなく、企業の経営者・人事ご担当者の皆様にも届く形での発信を意識してきました。
外部向けセミナー・講演
実践と理論の両軸を、社会に届けるための外部向けセミナーや講演にも、積極的に取り組んできました。
(自分から積極的に営業することはなく、紹介や、ご相談があれば、時間の限りお引き受けさせていただいてきました。というのが正確かもしれません)
企業向けの1日プログラムセミナーには、これまで200社以上の企業がご参加くださいました。個別アドバイス・プログラム策定支援は30社以上、行政・中間支援団体(瀬戸市役所/宮城県など)へのアドバイスも継続的に行っています。
最近では、2025年10月に厚生労働省主催「第5回 職場における学び・学び直し促進シンポジウム」(刈谷)にて有識者講演とパネルディスカッションのモデレーターを務め、2025年11月には宮城県主催「ものづくりカレッジプロジェクト」(仙台)にて基調講演とファシリテーターを担当しました。
東京中小企業投資育成株式会社、日本能率協会、愛知中小企業家同友会、福島県、瀬戸市役所など、多様な組織との連携も続けることができています。
ポッドキャスト「ノリノリのインターンシップ大冒険」
書籍・論文・講演に加えて、新しいメディアとして「ノリノリのインターンシップ大冒険」というポッドキャスト番組も展開してきました(2024年〜・棚瀬規子氏との共同番組)。Spotify などで配信し、音声を通じた発信も試みました。
この番組のタイトル「ノリノリ」を引き継ぎ、テキストでさらに体系的に発信していくのが、本連載「ノリノリでインターンシップ研究入門」です。
このように、書籍・論文・セミナー・講演・ポッドキャストと、多様な形態で、長期実践型インターンシップに関する発信を継続してきました。
連載に込めた思い
10年にわたる実践と研究、書籍・論文での発信、講演などを積み重ね、改めて、連載をスタートしたいと思っています。改めて、これからまた新しいチャレンジをCoIUで行っていきますが、その前段階として、今までの蓄積を、一つ形に残しておきたいとも考えました。
1つ目は、「幅広い視点を、多面的に展開できる」ことです。学生視点、企業視点、大学視点、地域視点、研究者視点、実務家視点、コーディネーター視点、政策視点。それぞれの視点から、長期実践型インターンシップを照らし出すことで、立体的な理解が生まれると思います。
2つ目は、「最新の知見を反映できる」ことです。社会は変化し続けています。ジョブ型雇用の進展、専門職大学の広がり、AI時代の到来、ローカルキャリアへの関心の高まり。これらの変化に応じて、長期実践型インターンシップへの問いも進化していきます。書籍やネットニュースなどではなく、個人のnote,HPからの発信の流動的なフォーマットだからこそ、その変化を反映した発信が可能になります。
3つ目は、「読者の皆様との対話を継続できる」ことです。書籍は出版した瞬間に固定されますが、連載は読者の皆様の反応を受けて、深掘りするテーマを選んだり、追加したい視点を加えたりできます。読者の皆様と一緒に、長期実践型インターンシップの世界を探究していく場として、連載を位置付けたいと考えています。Xなどでの交流なども通して、いろんな人とコミュニケーションが重ねられたら嬉しく思っています。
「ノリノリ」のブランドのもと、堅苦しくなく、親しみやすく、しかし内容は、きちんと事実・経験に基づき、皆様にお届けしたいと思っています。
連載の主なテーマ
連載の主なテーマ
連載では、大きく以下の領域を予定しています。詳細は連載の進行に合わせて柔軟に調整していきますが、現時点での全体構成は8部構成です。
第1部:なぜ今、インターンシップなのか? インターンシップを理解するには?
─ 現代のインターンシップの課題と、長期実践型という選択肢 ─
第2部:長期実践型インターンシップ、ボンディングシップとは?
─ 連載の中核となる独自概念 ─
第3部:共創の仕組み ─ 絆=ボンドの意味 ─ 学生・企業・地域が共に育つ場
─ 三者が共に成長する場の本質 ─
第4部:設計 ─ 実践のために必要なフレームワーク
─ 再現可能なメソッドの体系化 ─
第5部:コーディネーターというインターンシップ専門人材の重要性
─ 学生・企業・地域を繋ぐ「縁の下の力持ち」─
第6部:対象別 ─ あなたができる「若者との絆」
─ 中小企業経営者・大学・自治体・学生など、立場別の実践ガイド ─
第7部:時代の変化とインターンシップ(ジョブ型雇用・専門職大学・地域連携)
─ 社会の変化への応え方 ─
第8部:展望 ─ これからの日本の未来・人材育成
─ 連載の総括と未来への提言 ─
連載の読み方
この連載は、3つの読み方を想定しています。
1つ目は、第1回から順番にニュース・定期購読して読む「通読」です。順に読むことで、長期実践型インターンシップの全体像を理解できます
2つ目は、興味のある部から始める「テーマ読み」です。例えば、「ボンディングシップとは何か」をすぐに知りたい方は第2部から、「設計の原則」を学びたい方は第6部から、お読みいただけます。各回は独立して読めるように書いていきます。
3つ目は、自分の立場に合わせて読む「対象別読み」です。学生の方は第8部、企業・地域の方は第9部、大学の方は第5部から始めるのも良いでしょう。
どの読み方でも、長期実践型インターンシップの世界が、少しずつ立体的に見えてくるはずです。
おわりに
「頑張る人が報われる世の中をつくりたい」というコアメッセージのもと、
この連載を通じて、ノリノリで、楽しみながら長期実践型インターンシップの世界を、皆様と一緒に旅していきます。
【連載の他の回】
Vol.1:連載スタート
Vol.2
(リンクを後日追加します)
【関連リンク】
・今永典秀のnote ページ 第一回
・関連する研究テーマ:インターンシップ・ボンディングシップ・長期実践型インターンシップ
・関連する活動内容
・関連書籍:『長期実践型インターンシップ入門』など
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